馬毛島は米国の不沈空母となるか 日本政府が買収で合意

CNN
馬毛島を上空から捉えた写真=2018年7月/The Asahi Shimbun/Getty Images

馬毛島を上空から捉えた写真=2018年7月

東シナ海の端に浮かぶ約8平方キロの島が、アジアで有事の際に米海軍の「不沈空母」として使われる日が来るかもしれない。

日本政府は先ごろ、九州本島から30キロあまり南方にある鹿児島県の無人島 、馬毛(まげ)島を買収すると発表した。

島の大部分の土地を所有するのは東京の開発会社で、島には以前の開発計画で放置された2つの交差する滑走路がある。

日本政府は滑走路を舗装し、米海軍と海兵隊の空母艦載機の陸上離着陸訓練に利用する方針を示している。ただ、売買契約の締結はまだ完了しておらず、利用開始の時期を明らかにしていない。

だが、一度適切な施設が完成すれば、この島は日本の自衛隊の恒久的な基地としての役割も果たしうる。支那が尖閣諸島の領有権を主張する中、日本は東シナ海でのポジションを強化しようと模索している。

菅義偉官房長官は馬毛島購入の大筋合意を発表した際、「取得は日米同盟の抑止力の維持や、我が国の防衛力の強化に極めて重要」との認識を示した。在日米軍の関係者は島の購入についてコメントできないと語る。

馬毛島の購入交渉は何年にもわたり続いてきた。政府と島の大部分を所有するタストン・エアポートとは先月、大筋合意にこぎつけた。

同島は2011年の在日米軍再編に関する日米政府の共同文書で、米軍の恒久的な陸上離着陸訓練の基地に適した候補地として明記されている。

米軍拠点の分散化

約160億円での購入合意の話は、支那のミサイル保有数の増加に伴い東アジアの米軍の戦略基地数を増やすべきとの声が上がり始めたタイミングで発表された。

戦闘任務に当たる在日米軍の航空部隊の大半は現在、わずか6つの基地に集中している。

ベルリン自由大学でアジア地域の安全保障を分析するコリー・ウォレス氏は、「日本と米国の基地は(各々または共同で)徐々に多様化していく流れになる」「基地や兵器がもっと分散すれば同盟はさらに強固になる」との見方を示す。

基地の数が増えれば増えるほど、敵対勢力が戦闘時に相手方を圧倒し有利となるためにより多くのミサイルが必要になるとの考えによるものだ。

恒久的な陸上の基地は空母よりも価値が高いと考えられている。理論上、空母は一発のミサイルや魚雷でも戦力外となる可能性があるが、陸上の基地は多数の攻撃を受けても耐えることができる。また戦闘によるダメージを受けても、空母のような複雑な兵器より陸上の基地の方が早く修繕可能だ。

シンガポールのSラジャラトナム国際研究院の研究フェロー、コリン・コー氏は「空母が標的となり沈没した場合、もう元には戻らない」「(島なら)少なくとも沈みはしない。時間と労力をかければ再び運用可能になる」と語る。

日米同盟関係のねじれ

新基地の話は日米同盟の協力関係においてもいい兆候となる。近年、日米の協力関係は2つの面で緊張感が高まってきた。一つは基地周辺の地元住民が日本政府に人口密集地からの米軍移転を求めている点、もう一つはトランプ大統領が日本などの同盟国に金銭的負担増を要求している点だ。

ウォレス氏は第1の点について、馬毛島では米海兵隊の輸送機オスプレイの運用が行われる可能性があり、現在同機が展開している本土や沖縄の負担軽減につながると指摘する。

今年2月、米海兵隊普天間飛行場からの基地移転に向けた辺野古での埋め立ての是非について住民投票が行われた。その結果、埋め立てへの反対票が圧倒的に多く、県外移転を望む声が多いことが示された。投票前には米軍機から部品が基地外の学校周辺などに落下する事故が発生、米軍関係者と地元住民のあつれきも生じていた。

ただ、投票結果には法的拘束力がなく、日本政府は引き続き県内移転の計画を進めている。馬毛島についても同様に、地元自治体から難色を示されても政府は押し返していくものと予想される。同島は14キロ東の沖合にある種子島北部を施政する西之表市に所属している。

第2の点について、前述のコー氏は、より広い国際情勢の観点からは、日本は最重要の同盟国である米国を満足させる正しい対応をしていると語る。

「トランプ氏は日本にもっと金を出すように求めている。島の購入は日本が負担増を受け入れる用意を示す計画全体の一部となる」

馬毛島は種子島に近いが、人はだれも住んでいない。これは「安倍政権が同盟関係と国内有権者に対して負う責務のバランスをうまくとる取り組みを可能にする」

練習場として、馬毛島は米国の空母艦載機パイロットにとってより便利な地となる。今はパイロットの多くが「タッチ・アンド・ゴー」の離着陸訓練を行うため、山口県の岩国基地から約1360キロ離れた太平洋の硫黄島まで飛行している。馬毛島ならその行程を約960キロ短縮することができる。

新たな能力獲得の機会に

ウォレス氏は、馬毛島は将来、自衛隊と米軍の新たな連携をもたらす可能性があるとも語る。特に最新鋭ステルス戦闘機F35が絡んだ連携が想定されるという。

日本政府はいずも型ヘリコプター搭載型護衛艦をF35Bが離発艦できるように改修すると発表した。F35Bは現在、米軍の小型の空母として機能する強襲揚陸艦で運用されている。日本政府はこの短距離・垂直離陸型の戦闘機を数十機購入する予定だ。

「日本には固定翼の航空機を空母に着艦させる経験を持つパイロットがいない。しかし、この新たな施設の誕生で、日本が米国と連携して運用に精通する機会が次第に確保される可能性がある。自国の空母を運用するだけでなく、米国との空母の共同使用もある。日本のF35を米海軍艦に搭載すれば大きなシグナルになるだろう」

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